窓にこしかけて眺めた空は

言葉にすることで客観視することができるのだろうか

ら・ら・らせん

白の強い水色の球体が、ゆるい放物線を描いて落下している

それは透明な面に当たって跳ねた

3~4回跳ねると後は少し転がった

透明な面には当たる度に小さな円形の波紋が現れたが直ぐに消えた

 

今は球体は透明な面の上で動かない

どこからも力は加わらないし、自分から動く力も無いように見える

透明な面から下側には入らない

それは永遠に馴染むことが無いように見える

 

時間の概念はあるのだろうか

静止してから長い年月が経ったような気もするし

一瞬前のことであったような感じもする

 

その時透明な面から上方に透明で小さな雫が落ちていった

否、上方なのだから昇っていったのだ

すると、また1つまた1つと少しずつ雫が昇っていく

その数は次第に加速度的に増えていき、やがてミストシャワーとなっていった

 

音は無い

あるのかもしれないけど感じることはできない

ミストに包まれている内に何かに気づく

匂い?

思考している部分を浄化しているのか、何か清々しさを感じる

それは始め優しく脈打ち、徐々に大きな振動となっていった

振動する球体は少しずつ透明な面に沈んでいるようにも見えた

透明な面と点で接していた筈の球体の下部は、

横から見ると丸みを失ってしまい透明な面にめり込んでしまっている

 

すると球体下部の透明な面が徐々にせり上がってきた

球体が沈み込むのと呼応するかのようにゆっくりと外壁をよじ登り始めた

透明なので分かりにくいが、ある程度の厚みを持って、

おもちゃのスライムのように緩やかに形を変えながら

 

透明な面が球体の半分くらいを飲み込もうとしていた時、

球体が突然形を変えた

それは楕円体に見えた

まるで透明な面に飲み込まれることを嫌うかのように

透明な面の壁から離れた結果として楕円体になったかのように

 

楕円体は面と点で接している

筈だった

気がつくと透明な面から少し浮いている

それが変形した瞬間に離れたのか、変形した後で浮き始めたかは不明だ

 

飲み込む対象を失った透明な壁は、少し静止した後、ゆっくりと元の平面へと戻っていくようだった

楕円体と面との隙間は少しずつ大きくなっていった

楕円体が斜め上方へ少しずつ移動していたのだ

 

透明な面が何事も無かったかのように元の平面と戻る頃には、

楕円体は既にかなり上空へと離れていた

その長く伸びた方向へ真っ直ぐに進んでいた

それは徐々に速度を上げていった

 

透明な面が認識できなくなる頃には、そのスピードのせいなのか周りが赤みを帯びたオレンジ色と化していた

楕円体からは青みが抜けてしまい、半透明の白色になっていた

そしてそれは小さな粒状に細分化されていった

 

速度は落ちるどころか益々上がっていった

オレンジ色に囲まれているせいか暖かく感じるようになってきた

すると細分化された先頭の方から少しずつ消えていった

消しゴムで消されていくかのように

 

全てが消えてしまうと何も無くなってしまった

色も

形も

音も

匂いも

時間も